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植込み型心臓不整脈デバイスについて

心臓の電気的興奮が正常に働かず、心拍数がゆっくりになったり、失神発作や心不全の原因となる、徐脈性の不整脈に対して行われる治療に「植込み型心臓ペースメーカ」があります。

心室頻拍や心室細動といった致死性の不整脈が発生した際に、除細動を行い、通常の心臓の電気的興奮に戻す治療として「植込み型除細動器(ICD)」があります。

心臓の電気的興奮にずれが生じ、左心室と右心室の収縮のタイミングがずれることで生じる、重症心不全の疾患に対して行われる「心臓再同期療法」には、左心室と右心室へ同時に電気刺激を送り、心臓の収縮タイミングを正常に機能させるための「両室ペースメーカ(CRT-P)」、その両室ペースメーカに上記の除細動機能を追加した「除細動機能付き両室ペースメーカ(CRT-D)」などがあります。

長期間心電図を記録し、失神の原因の特定や脳梗塞を発症の原因が心房細動によるものか診断するのに非常に有効である、「植込み型心電計(ICM)」といった診断に特化した機種もあります。

それら、心臓の不整脈の治療・診療を目的として体内に植え込まれる機械を、総称して「植込み型心臓不整脈デバイス」と言います。

植込み型心臓ペースメーカ

植込み型心臓ペースメーカは、脈拍がゆっくりとなる徐脈や心拍が検出されなかった場合に、速やかに心臓へ電気刺激を送る機械です。
安静にした状態で1分間に60~100回の脈拍数であるのに対して、その脈拍数よりも少ない状態を「徐脈」と呼びます。

徐脈となる原因はいくつかありますが、自覚症状は総じて

 ①息切れや過度の疲労感
 ②足のむくみ
 ③めまい
 ④失神

などが挙げられます。

脈拍数が少ないために、日常生活や運動に必要な酸素を体中にいきわたらせることが出来ず、めまいや息切れなどを起こします。
それらの症状を抑え、患者さんのQOLを向上させるために「植込み型心臓ペースメーカ」での治療を行います。

ペースメーカは、心臓の電気的信号が正常に機能せず徐脈となってしまわないように、心臓に電気を送り、脈拍を正常にする機械であり、小さなコンピュータと電池が内蔵されている「ジェネレータ」と呼ばれる本体と、心臓の筋肉に固定し、本体からの電気信号を心臓に伝える役割の「リード線」で構成されています。
本体には、電池残量やリード線の状態、不整脈の有無など様々な情報が記録されています。
その情報を「プログラマ」と呼ばれる専用の機械で読み取り、それらの情報を元に、設定変更や薬剤の増減等を検討しています。

植込み型除細動器(ICD)

植込み型除細動器(ICD)は、心室頻拍や心室細動といった致死性の頻脈を検知した際に、速やかに電気ショック等の治療を開始し、洞調律へ戻すことを目的とした植込み型の治療機器です。

頻脈性不整脈では、脈拍が1分間に400回以上となることがあり、自覚症状は

 ①脈の乱れの自覚
 ②息切れ
 ③動悸
 ④眩暈、立ち眩み
 ⑤突然の虚脱感
 ⑥失神、痙攣を伴う失神

などが挙げられます。

ICDはペースメーカと同様に、小さなコンピュータと電池が内蔵されている「ジェネレータ」と呼ばれる本体と、心臓の筋肉に固定し、本体からの電気信号を心臓に伝える役割の「リード線」で構成されています。
リード線は2種類使用され、通常のペースメーカ用のリード線と、電気ショック等の治療に用いられる「ショックリード」と呼ばれる専用のリード線を使用します。

両室ペースメーカ(CRT-P)
除細動機能付き両室ペースーメーカ(CRT-D)

両室ペースメーカ(CRT-P)は、左右の心室がバラバラに収縮することで、効率的な血液の拍出が行われない「重症心不全」に対して、左右の心室を同期させて収縮させ、効率的な血液の拍出を助け、心不全の治療を行う機器です。

重症心不全に起因し、心室頻拍や心室細動といった致死性の頻脈を合併する場合もあります。

そこで、除細動器機能を有した機種を除細動機能付き両室ペースメーカ(CRT-D)といいます。

植込み型心電計(ICM)

植込み型心電計(ICM)は、皮下に植え込む連続心電図モニタリングデバイスで、最長で3年間の連続モニタリングが可能となっています。

植込みの目的としては、

 ①失神の原因となる徐脈性、頻脈性不整脈の検出
 ②潜因性脳梗塞の原因となり得る心房細動の検出

等が挙げられます。

ICMは、小指程度の大きさの機械を前胸部の皮下に植込み心電図を24時間記録するため、普段通りの生活をつづけながら精度の高い心電図データを取得することができます。

ペースメーカー外来を受けられる患者さんへ

植込み型心臓不整脈デバイスは、定期的なデバイスの点検が必要となっております。

電池の残量や、リード線の損傷等が無いか、不整脈の有無やその持続時間等の情報を、デバイスから収集することができます。
それらの情報を元に、不整脈に対する治療方針や患者さん一人一人に合った設定を検討します。
そのため、毎日の検脈は必ず行っていただき、動悸や息切れ等の体調不良のあった場合などはデバイス手帳へご記入いただき、ペースメーカー外来時にご相談ください。

デバイスに記録された不整脈情報等を参考に、適切な設定値や投薬の指標とします。

対応機種

現在、国内にて販売されている機種に関しては全メーカーの機種に対応しております。

 〇Abbott Medical Japan LCC
 〇Boston scientific Japan
 〇Microport CRM
 〇Medtronic
 〇BIOTRONIK japan

ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

遠隔モニタリング

遠隔モニタリングとは、ご自宅に居ながら、ペースメーカー外来と同様のチェックを受けられるシステムであり、不整脈やリード損傷、デバイス本体損傷等のトラブルを早期に発見することが可能なシステムとなっています。

通常、ペースメーカー外来が半年に1回の外来受診となっていますが、遠隔モニタリングシステムを導入することによって、1年に1回の外来受診となり、外来通院の回数を減らすことができます。
1か月毎に遠隔モニタリングにてチェックを行っておりますので、デバイスにおいて問題があれば、すぐに対応することが可能となっています。
しかし、すべてのデバイスが対応というわけではありませんので、導入できる機種であるかどうかはお問い合わせください。
当院でお調べをして、遠隔モニタリングシステムに対応している機種かどうかの判断をさせていただきます。

なお、遠隔モニタリングシステムは従来よりも性能が高くなっておりますが、緊急に対応したシステムではありませんので、体調不良や、動悸息切れ等の症状がありましたら、お気軽に受診してください。

よくある質問(Q&A)

Q. お風呂は入っても大丈夫ですか?
A. 入浴が直接ペースメーカ等のデバイスに影響を及ぼすことはありませんが、銭湯などの大衆浴場にある電気風呂に関しては、デバイス に影響を及ぼしますので、利用は避けてください。

Q. 電化製品は使用しても大丈夫ですか?
A. 電化製品を使用する場合は、「体に直接電気を通すもの」、「強い磁場を発するもの」は使用を避けてください。
電磁調理器(IH調理器)は電磁波を出していますが、極端に近寄ることを避けていただければ使用していただいても大丈夫です。しかし、使用中に気分の不良を感じた場合は速やかに使用を中止し、その場を離れてください。

Q. スマートフォン等の携帯電話は使用しても大丈夫ですか?
A. スマートフォン等の電波を発する機器に関しては、植込み部から22cm程度話していただければ問題なく使用できるとされています。しかし、使用中に気分不良等を感じた場合には、速やかに使用を中止してください。

下記URLからも生活上の注意点をご確認することができます。
https://www.jadia.or.jp/

その他、質問等がありましたら、下記までご連絡ください。
医療法人 永井病院 代表電話 059-228-5181

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